江戸っ子好みの珍味品と礼讃される、くさや。
反面、いわゆる‘くさや香’から、敬遠したり腐敗イメージを持つ人が少なくありません。
これはとても残念なこと。
くさやは新鮮な魚を開き、くさや液に漬け込む前後何回も浄水で洗い、天日乾燥させたものです。
塩の節約から生まれた妙味
いまから200年ほど前、新島をはじめ伊豆七島では製塩業が営まれていました。
当時、塩は幕府に上納する貴重品。
ムダ使いは許されなかったうえ、大漁の年には干物用の塩が不足したこともあったと思われます。
そこで、一度使った塩汁を捨てず、新しい塩を足しながら繰り返し使ってるうちに、特別な風味を持つ干物ができた・・・・・おそらくこれがくさやのルーツ。
塩を節約する知恵と工夫が、あの妙なる味わいを生んだのです。
くさや液は‘一日にして成らず’
通常干物づくりには18%〜20%ほどの塩水を用いますが、くさや液のそれは8%程度。
しかし塩度の加減より何より、長い年月と細心の手入れ、さらに適宣な使用
(酷使しない・休ませない)なしには良質のくさや液になりません。
若い未熟な液では、あの独特のくさや香と深い旨味が醸されない。
このことは、過去の多くの試みにより証明されています。
秘伝の味を競う、本場新島くさや
花嫁の持参品にする他は門外不出というケースが少なくありません。
商業生産品もまた同様。
メーカーごとに独自の風味を競っています。